スクリーンの誘惑

見た映画の記録を関係ないような雑感といっしょに。

「追憶」

 失恋したときに、悲しい曲を聞くか、明るい曲を聞くかは、派閥が分かれるところだと思います。

 迷いなく前者の派閥として生きてきて早10年以上。失恋に限らず精神的につらいときは、悲しい曲、暗い曲、人間の闇を感じる曲ばかりを聞いては、ひたすら泣くというのが私の定石。そのために、私のウォークマンには暗い気分用プレイリストがあったりします。

 むかし好きだったバンドは、明らかに病んでる時期と思えるアルバムが1枚あって、当時はそのアルバムばかり聞いているときもあったなぁ。

 こういう傾向は音楽に限らずで、映画なんかも一緒なんですね。

 今日は「帝一の國」にするか「追憶」にするか迷いまして、もうここ最近の低迷ぶりとすぐ泣く度合いを考えたら、ここは「追憶」しかないでしょう。苦しい気持ちを抱えて帰るしかないでしょう。

 と、意気込んで観にいった「追憶」。

 

 あったかくなるいい映画だった・・・!

 

 予告編を見る限り、暗い出来事を抱えた人たちの苦しい思いでいっぱいの映画だと思っていた。もちろん苦しい思いはあるのだけれど、最後には温かい気持ちになれる、静かに愛情の溢れる映画だった。

 劇的ではないけれど、すこしずつじんわりと心に温かみが沁みていく。人間は汚いばかりではないのだ。目をそむけたくなるほど汚いもののなかにも、綺麗な思いは残ることができる。

 

 夕日が美しい映画だけれど、桜も見てほしい。四方(岡田准一)が桜満開の道を歩くシーンが最高に美しかった。美しすぎてざわざわする、脳に鳥肌立つような感じがするくらい。

 

 想定する涙は流せなかったけど、これはこれでいい涙だったな。