スクリーンの誘惑

見た映画の記録を関係ないような雑感といっしょに。

「相棒 劇場版Ⅳ」

 私の地元には有名な語り部がいる。地元の小中学生はみな、彼女の話を聞いたのではないかと思う。
 終戦間近の空襲の夜、彼女は幼い娘を背負って逃げた。戦火から逃れようと川に飛び込んだが、B29が油を投下したあとに焼夷弾を落とすものだから、川の表面は火の海となった。
 水に潜ってなんとか逃げた。やっと助かったと思ったとき、背中で娘が亡くなっていた。そこで、彼女は泣いた。
 当時、おそらく戦後50年ほど。戦争の恐ろしさより、彼女の傷の深さに衝撃を受けた。

 「相棒 劇場版Ⅳ」を観ながら頭の中を占めたのはこの話だった。異国の地で戦火から逃げようと走る日本人親子の映像に、語り部の彼女の消えない苦しさを重ねた。
 この映画の根っこには戦争の存在がある。過去の戦争でいまも苦しむ人がいる。きっとこの事実がノンフィクションな世界はあるんでしょう。

 そんな真面目なことはいっさい考えなくても、この映画はおもしろい。相棒ファンの期待に応える劇場版だ。
 ただひとつ気になるのは、副総理、むかし犯人役やってなかったっけ?
 神奈川県警の警察官のふりをする誘拐犯グループのボス。確か同じ俳優さんじゃなかったかしら。
 ま、そこが気になったのも最初だけで、すぐにそんなことはどうでもよくなりました。

 ところで、語り部の彼女は、もう亡くなっているのです。彼女にとって私は大勢の小中学生の中の一人で、私も彼女の顔を思い出せない。でも彼女の話は強烈に残っている。
 戦争を知る世代がいなくなるというのは、本当に日本の損失なのだ。

 

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